楼主:
OGATA (HARUKA)
2008-06-27 02:00:16◆◇ “ 绪方恵美の、银河で、ホエホエ。” ◇◆ 2008年6月25日発行
vol.80“雨の季节が终わる顷”后编
(読者の方へ:この号は、前后编の“后编”です。
1号前のvol.79からお読み下さい)
“今までに参加したすべての作品が大切です”
その言叶にウソはない。いろいろな作品、そのひとつが欠けても、今の私は在り
えないのだから。
でも、すべての作品の内容やその役柄を明确に覚えているかと言えば、大量に“
こなしてゆくこと”が求められるこの仕事においては难しく、中でも振り返っただ
けで心がその时までタイムリープするような作品というのは、残念ながら非常に限
られている。
レギュラーで続いたテレビアニメなら覚えているかというと、そうでもない。む
しろ、たった1日、数时间触れた作品が、心を、カラダを捉えて离さない……そん
なことの方が多い気がする。
(もちろんテレビアニメでもたくさんありますが!!)
そんな、强烈な印象を残した作品の1つが、今日、発売になった。
ドラマCD“いま、会いにゆきます”だ。
活字中毒で、新闻からノンフィクションから大众小说までいろんなものを雑多に
常に読みあさっているような私は、本屋に行くと“ぴぴぴ”ときたものを直感で买
いあさってくるクセがある(だからいつも1万円以上は軽く、、、(^^;)。
この原作小说は、そんな中の1册だった。初版本だ。
たちまちそのセカイに魅せられ、涙・涙・涙。
映画も観た。涙。テレビは忙しくて1回くらいしか観られなかったけれど、でも、
DVDは本编だけではなくメイキングオンリー(?)のものまで买ってしまったほどだ
った(珍しいのだ私にしては!)。
その作品が、ドラマCDになるなんて!
超有名・人気作品でありながら、実写映画化もドラマ化もとうにすまされてしま
っている今、なぜこの作品が? と思ったけれど、ライトノベル以外の小说原作作
品に関わる机会が极端に少ないこの业界にあって、もともとそんな势いで原作が好
きだった私が……なんて机会は、めったにあるものではない。
だからオファーを顶いた时から、ずーっと楽しみにしていたのだ。
ずーっと。
そうして届いた、映画やテレビの时とは违いほぼ小说に准じたシーンが展开され
る、ブ厚い台本(原作ファンには嬉しい←オタク)。読んだだけでいろんな涙がこぼ
れた。
でも本当にヤバかったのは、现场だった。
前后编2枚组の大作。
1时间前后のドラマCDなら(现场にもよるが)だいたい1日、それも5~6时间
で収录を终えることが多いのだが、この作品は2日间に渡って収录された。
……その后半が、特に、凄かった。
1シーン终わるごとに、全员がティッシュボックスに走る。
そのシーンの演者だけでなく、スタジオ内にいて闻いている他の役者も含めて全
员がである。そして10分、休憩になる。気持ちが入りすぎて次のシーンの导入が全
部、鼻声になってしまうからだ。
全员が泣いてしまうので、别录り(本线の声とかぶると困る声を别线で录ること)
もすぐにはできない。“こんな现场初めて…”と全员でいいながら、みんなで一绪
に鼻をかむ(笑)。オンナノコの役者は、现场で鼻をかむなんてナカナカ出来づら
いけど、そんなことかまっていられないくらいなのだ。
中でも圧巻だったのは、石田彰君の芝居。
彼とは何かと縁があり、いろんな作品で共演させていただいてきたのだが、こん
な石田君は初めてみた。
というか、女の役者が泣くシーンがある作品は割とよくあるけど、男の役者が泣
く……それも短く泣いてハイ次のシーン、じゃなく、ずっと泣き続けるなんて作品
自体が、稀有である。
しかも难病を抱えている、难しい役どころだ。
それを彼は、いとも简単に(……の筈はないけど)深く浅く気持ちを揺らし続け、
笑い、ひきつり、哀しみ、泣き続けていた。
それを闻くだけでも、本当に一聴の価値アリの作品だと思う。
かくいう私は、石田君の芝居を闻いては泣き、泣いては切り替え、いろいろせわ
しなく过ごしていた(笑)。
そして后半の中盘过ぎくらいのシーンで、初めて、それは起こった。
平野绫ちゃん演じるお母さん相手に、佑司(私の役)が、初めて自分の抱えてき
た悩みを吐露するシーン。お母さんがまたいなくなってしまう、と闻いて、ぽつぽ
つと口を开き、段々とまらなくなってわーっと泣きながら激白する、本作中の名シ
ーンのひとつである。
凡作であれば、彼女と私は别录り确実なシーン。でもこのCDは、本当に微妙な挂
け合い、微妙な“ナマ”の挂け合いがあってこそ成立するCDだ。なのでこのシーン
も、イマドキの音响シーンにおいては比较的少ないチャレンジではあるが、一绪に
挂け合いで录ることになった。
このような条件下でそうしなければならない时、だいたい私の方が、自分のセリ
フでは爆発しつつ、相手役が喋っているときは音量を落としたり、相手のセリフの
隙をついて鼻をすすったり息を吐いたりして、邪魔をしないのが鉄则だ。
だからこのシーンも、そのようにやってみることにした。
ところが、自分でも思ってもみない现象が起きた。
とまらないのである。自分の声が、身体が、抑制できない。
これは、困った。
よく小さい子供が、あまりにも兴奋して泣きすぎて、その后いつまでもしゃくり
上げ続けながら、言叶にならない言叶を発し続けることがある。
私の身体は、その状态に陥ってしまったのだ。
プロとしての头が、抑えなきゃ、静かにしなきゃと思っていても、佑司に支配さ
れてしまったカラダが止まらない。お腹の底の方からしゃくりあげが次々とわき起
こってきて、カラダは揺れ続け、息が胜手に漏れていく。
それでも绫ちゃんが喋っている、大事なセリフを台无しにするワケにはいかない。
仕方なく私は、呼吸を止めるという戦法に出た。しゃっくり(“しゃくり上げ”と
は微妙に违うのだが……)を止めるときに息を止めると収まるように、绫ちゃんの
セリフの间にガマンすれば、少しでも収まるかと思ったのだ。
だが、无情にもカラダは揺れ続ける。ずっと横隔膜が震えている。
コドモ还りをしてしまった私のカラダは、呼吸を止めたくらいじゃゼンゼンダメ
なのだった(本物の子供はそんなことできないんだから当たり前だけど(^^;)。
それでも音量は少しだけ抑えられ、心と体は佑司のまま、文字通り激しく揺れな
がら、なんとかそのシーンを录り终えることができた。
长く声优をやってきた中でも、初めてのことだった。
そんな风に录った作品なので、やっぱりというか案の定、私のカラダはしばらく
の间、作品世界に支配されたままだった。
その日はその后ミーティングが2件。冷静なアタマを使うべく……いや使おうと
努力したにも関わらず、结局夜まで、作品がカラダを巡り続けていた。
寝ようとしたけど眠れない。……もう1时を回っている。明日も早いのに。
仕方ないので、石田彰にメールを打つことにした。(←メイワク)
“深夜にごめん。このメールで起こしてしまいませんように。寝ようとしたけど、
君の芝居がアタマを巡って眠れない。どーしてくれる?(笑)”
“こんなこと初めてで、もちろんこんなメールを共演者に送るのも初めて”
“今のままのあなたで、あなたの思う通りに进んでいってください。そしてまた
いつか縁があった时に、刺激しあえる役者でいられるよう顽张ります”
……确か、そんな内容のメールだったと思う。
そうしたら1时间后に、返信があった。
起こしちゃったか! と心配したけど、どうやら彼も私と同じで、眠れていなか
ったらしい(笑)。
メール、特に携帯のメールが苦手で时间かかるけど、仆も、今、この时间に気持
ちを伝えておかなきゃと思ったから送るよ、というような书き出しで、彼にしては
长い……本当に珍しく、长い长いメールを顶いた。
なんだかホッとして、グッと胸が热くなった。
なのになぜかそれで落ち着いて、深い眠りに落ちられた。
まるでお父さんにあやされて眠る子供のように……(笑/失礼!>石田氏)。
なにはともあれ、良い作品なのです。
イマドキ私に、ごくごくフツウの、何のクセもない6歳の少年役をふってくださ
った関系者の皆様に、心から感谢!(笑)
机会があればご一聴下さい。
あなたの琴线に触れる作品に仕上がっていることを、祈りつつ……。
ご感想、心よりお待ちしています。